2017年6月22日木曜日

JALと会社更生

昔の話ですが、JALが2009年、銀行に債権放棄をお願いしているという報道があったとき、株価は100円〰120円前後(時価総額にして3000億円程度)だったのを思い出しました。銀行に債権放棄をお願いするというのは株主にとっては非常に危険なことです。

JAL再生チーム:債権放棄2500億円に減額-銀行団に譲歩 bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2009-10-20/KRTSOS0D9L3501

第15回 JAL問題から学ぶ個人投資家のとるべき投資行動とは
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/market/opinion/adachi/adachi_20100121.html



銀行はもちろんボランティアではないですし、上場企業であることがほとんどですから、銀行の株主が、債権放棄で損をするのに、JALの株主に対して、理屈の上では一円たりとも残すのは、銀行の株主への裏切りとなってしまうからです。

株主は、あらゆるステークホルダーにきちんとお金を払って、余った分は、すべて株主のものにすることができますが、一方で、株主より優先権の強い権利者への支払いができないのなら、理屈上の株の価値は0となります。従業員の給料が支払えないのに、株主配当や優待、会社を清算した場合の財産がもらえるわけないですよね。場合によっては経営にも全く関与できなくなります。


当時、知り合いが株主優待があるからJALは割安と言っていたり、流石にJALを倒産させないでしょうと言っている人がいて、本当に驚いてしまいました。債務を払えないのに、株主優待があるわけないし、そもそも株の価値自体がなくなる可能性を意識していませんでした。JALの事業自体を残しながら、現在の株の価値が0になりうるということも、多くの人がわかってなかったのかもしれません。


なんというか、今日そんなことを思い出しました。債権者が、上場会社ではなく、無償で債権を放棄してくれるなら、あるいは支払いを長期間待ってあげる奇特なボランティア精神の方であれば、株主にとっては、喜ぶべきことでありますが、当たり前ですが、銀行の債権を甘くみてはいけないですね。

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