2018年12月27日木曜日

FRBと1937年大不況

個人的に、安達誠司さんの記事の通りだと思います。FRBちょっと引き締めのペースが早い気がします。

記事のリンク
米国株大暴落が「リーマンショック級」どころでは済まない可能性 安達誠司
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59186

2018年12月26日水曜日

長期金利0で、不完全雇用だと、赤字国債を発行すると財政状況が良くなる?

最近、財政政策について勉強してみました。で、いろいろ学派みたいなので違うみたいなんですが、一応自分なりに理解したと思ってること。(素人なんで間違ってるかもしれません)

・量的緩和で、長期金利が0に張り付いており、追加の国債発行で金利が上昇せず、かつ、不完全雇用状態(インフレが起こっていない)なら、減税して赤字国債を発行した方が、財政状況が良くなる?

財政破綻が起こるかには「ドーマーの条件」というものがあるそうです。長期的に、名目成長率が名目利子率を超えていれば、破綻しないというものです。つまり、実質成長率を上げるか、インフレ率を上げることで、財政破綻しにくくなります。

長期金利が0に張り付いていて、追加の赤字国債の発行で、発行金利が0で、実質金利が上昇しないならば、内需圧迫が起こりません。内需圧迫という面では、将来世代への国債発行の負担がないということと同意です。

不完全雇用状態で、減税により需要を刺激するので、実質成長率を上げることができます。完全雇用になったならば、実質成長率はそれ以上、上がりませんが、インフレ率は上がります。

内需圧迫がほとんど起こらない状態で、実質成長率と、インフレ率を上げることができるので、ドーマー条件を満たしやすくなります。

ただ、長期的に完全雇用状態になるとストックとして積みあがった国債の金利が上昇しやすくなり、将来世代の負担になるということもあるらしいです。ですので、あまり大きく国債のストックが増えすぎるのもよくないのかもしれません。

現在は、日銀が大きく国債を買っていますので、統合政府からみた、国債は急激に減っていますので、そこまで心配いらないのかもしれません。いずれ、日銀が全ての国債を吸収しても、完全雇用にならないのであれば、ヘリマネをするという方法もあるかもしれません。ただ、それでは、完全雇用の実現が若干遅れるかもしれません。あと、市場に完全に国債が無くなると、それはそれで、困るのかもしれません。無リスク金利とかどうすんですかね。。いずれ、無リスク金利は0になるんですかね。。


量的緩和で金利が、0で張り付いているなら、マイナス金利を導入しない限りは、これ以上緩和ができなくなってしまいます。緩和できないと、デフレ脱却ができなくなる可能性もあり、経済に非常に悪い影響(失業率の上昇、潜在成長率が実現できない)をあたえてしまいます。

で、ここで、ヘリコプターマネーを使うんですが、財政状況が悪くなるのでとんでもないという反論が、出そうなのですが、むしろ、目先の財政優先で、デフレになると、よりドーマー条件を満たすことが難しくなります。

量的緩和で、長期金利が0なので、次はヘリコプターマネーをすべきなんだと思います。おそらくデメリットはほぼないと思います。将来世代への負担もなく、現世代の雇用を増やし、景気をよくでき、財政状況を改善できます。(たぶん)

2018年12月24日月曜日

全てがバブル派と、インフレ率上がってない派の争い

市場は荒れ模様ですね。

荒れてる理由としては、サブプライムショック後に中央銀行や、政府のバランスシートが急拡大したので、全ての資産が割高でバブルだという人たちと、インフレ率は安定していて、どちらかというとインフレ率は低下気味だから、中央銀行は緩和を持続すべきだ派の戦いでしょうか。

パウエルさんが、もしかしたら、全てがバブル派寄りなんじゃないかと金融市場が疑心暗鬼になっているのが、12月に株式市場が荒れている原因だと思っています。

アメリカの個人消費の伸び率は、2018年8月くらいに当面のピークを付けたようにも見えるので、9月くらいから弱気相場や調整局面入りに入るのは分かるのですが、12月の個別株を見ると、結構な疑心暗鬼の投げ銘柄等も増えており、急激なバランスシートの圧縮を市場がかなり心配しているのだと思います。

で、個人的には、インフレ率は上がってないじゃん派の方が正しいとは思うのですが、金本位制への復帰や、拙速な0金利政策の解除、謎の財政赤字をGDPの2%以内に抑えるといった、緊縮政策への誘惑は過去、何度も市場や実態経済を崩壊させてきましたので、そのような方向へ向かうことも可能性としてはあるのかなと。

全てがバブル派は、逆に言えば、貨幣が過小評価されているといっているのと同義なんですが、貨幣ってただの紙切れですよ。。ホントにそれでいいんですかねとは思います。でも、みんなが、リスク資産より貨幣を好めば、市場は美人投票ですから、そういう動きになると思います。そして、実体経済に不必要なダメージを与える可能性もあると思います。

もちろん、個別のリスク資産がバブルかどうかなんて、簡単には分からないですけど、全てがバブル派に対しては、個人的には、インフレ率見ろやというのが、感想です。でも、一度サブプライムショックで恐怖を覚えてしまった、政府を除いた民間のリスク耐性考えると、全て(のリスク資産)がバブルというのも気持ちはわからなくはないです。

国債金利はずっと長い期間を経て低下傾向ですが、株のPER自体は、どこら辺が適正というか、一般的なリスク許容度と比べて適温なのかわからない部分もあります。一般的なリスク許容度が低い分、株の方が割安であるという認識はありますが、割安なものが買われるとも限りません。金利が低下傾向で、株の適正PERが上がってきているなら、株も上がるのかもしれないですが、仮にPER20とか25が適正とかなると、それはそれで、過去の変動リスクを見ると少し怖い部分もあります。そもそも市場の一年後のPERなんて、景気変動で吹っ飛ぶかもしれませんし。現物長期で、変動なんて気にしないのが一番なのかもしれませんが。。

パウエルさんも、インフレ率が下がってきたら、対応するのかもしれませんが、金融政策は1-2年後に実体経済に効いてくると言われてますので、実態経済に1-2年ダメージを与えて、その間市場も低迷・崩壊する可能性はあるとは思いますし、その前に対処する可能性もあるとは思います。

一方で、パウエルさんが正しくて、アメリカ経済は強い可能性もありますが、サブプライムショックの教訓から金融機関がリスクを取れない中、中央銀行がバランスシートを急激に圧縮すると、貨幣の供給が足りなくなり、景況感が悪化し、失業者が増加して、デフレの方向へ行ってしまう可能性もあります。

実体経済自体はとても複雑でしょうし、種々の利害関係や政治的動きもあるでしょうし、金融緩和とか関係ない、景気変動もあるかもしれませんし、どうなるかは、わかりません。

2018年12月21日金曜日

経済の発展と貨幣の毀損、完全雇用を目指して

経済の発展に伴って、貨幣の価値はどんどん毀損されているんじゃないでしょうかと最近思っています。みんな、貨幣が大好きすぎて、何かペナルティが無いと、貨幣を持ちすぎてしまうのかもしれないですね。

流れとしては、

実物通貨→兌換通貨→信用通貨→短期0金利→量的緩和(長期0金利・中央銀行のバランスシートの拡大)→実質的なヘリコプターマネー(減税・赤字国債発行)→可能かはわからないけど最終的に無税国家

こんな感じですかね。

やはり、貨幣の価値を棄損させる政策は、敬遠されるというか、あまり、誠実な政策には見えないですよね。金貨の質を落とすとか、ただの紙切れにするとか酷いですよね。でも、これをやらないと、デフレの脱却は難しいのかもしれません。貨幣の供給を沢山にすれば、自然と貨幣の価値は毀損されていきます。やりすぎてしまうとインフレになってしまうので、やりすぎはダメです。

ただ、社会が成熟し豊かになればなるほど、矢印の右の方になっていくのではないでしょうか。お金持ちほど、お金を保有することを好みますから。お金を溜め込まれると経済自体が回らなくなります。

このような流れに、逆行しようと無理をすると、不必要な不景気を招いていることが多いと考えています。金貨を元の金の割合に戻すとか、金本位制に復帰するとか、0金利政策をやめるとか、そういうやつです。結局、そのような一見誠実そうな政策は、酷い経済不況を起こして、否定されてきました。場合によっては、中銀のバランスシートを削減する政策も、危険な可能性もあります。どの政策も、インフレの危険が見えてきた時点で、辞めればよいものばかりです。

単純に考えれば、インフレにならない限りは、最終的には無税国家を目指すようなベクトルに行くべきなんだと思います。人間や社会の進歩の最終形が、無税国家や働かなくても生活できる社会であることは荒唐無稽のようで、決して夢物語ではありません。

減税するというと、そんな政策はけしからん、政府はもっと財政を健全にすべきだという人もいると思いますが、減税してもインフレにならないのであれば、それは社会が豊かになって、無税国家へ一歩近づいている証拠です(たぶん)。インフレにならないぎりぎりまで減税や金融緩和を行って、雇用を最大化することこそが、社会を最も豊かにする一番の近道です(おそらく)。

完全な無税国家が可能かはわかりませんが、生産性が向上したり、社会的ストックが積みあがるにつれ、そのような方向に近づくのではないでしょうか。そういう、方向性があれば、何でもかんでも、元の状態に戻そうとする変なバイアスが減っていくのではないでしょうか。

パウエルさん、12月のFOMCでは金利の上昇に関してはハト気味でしたが、中央銀行のバランスシートの縮小に関しては、かなりタカ派で、市場の警戒も気にしていないようでした。まだ、インフレにほとんどなっていないのに、急激なバランスシート削減による金融緩和の縮小は経済に悪影響がないか心配です。




2018年12月15日土曜日

米国株は弱気相場入りしたか

今更かという感じもしますが、米国株弱いですね。好景気の終わりに近いかもしれないということで、市場も弱いみたいですね。いろいろ、以下に書いてますが、結論としては弱気相場が続くかは全然わかりません。

大分昔に積ん読していた、本を引っ張り出してきました。


ウォール街流 米国景気予測の方法 ジョセフ・H・エリス 2008/9/19

2009年の始めに買った本ですが、とてもいい本でした。もっとちゃんと読んどけよと思ってます。
で、本によるとアメリカの弱気相場の始まりは、実質個人消費の前年比成長率のピークになることが多いようです。実際、個人消費の伸びのピークに遅れて、設備投資や、企業利益がピークを付けることが多いようです。
で、2017年、2018年のアメリカの実質個人消費(消費者物価指数で除算)の前年比推移を見ると、
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2017年2.38%1.52%2.42%2.16%2.24%2.21%2.19%1.94%1.96%2.29%2.51%2.38%
2018年2.16%2.05%1.89%2.00%2.06%2.13%2.41%2.63%2.44%2.42%
2017年11月に一回ピークをつけ(2017年12月に成長率の鈍化)たと思ったら、2018年4月くらいから回復し、2018年8月にピーク(2018年9月に成長率の鈍化)をつけていますね。これ、マーケットの値動きとかなり連動していますね。ただ、2017年前半はトランプ減税期待もあってか、全然マーケットは反応していないですね。

2018年9月の個人消費の成長率の鈍化は2018年10月の末くらいの統計で確認しないと、個人投資家では判断難しいですね。2018年10月に、かなりS&Pは下げていますから、個人消費の先行指標のような数字を独自に見つけて判断している機関投資家とかも存在しているかもしれないですね。中には、衛星写真で景気動向みている人もいるみたいですから。逆に2018年1月の上げでは、個人消費の指標を見てから受け身を取れた凄腕の方もいるかもしれないですね。

ウォール街流 米国景気予測の方法では、個人消費の先行指標についても述べていますので、気になる方は、本を読むことをお勧めします。中身全部書くわけにはいかないので。。タイミングとしては6-12ヵ月程個人消費に先行することが多いその指標ですが、そちらの指標と2018年に所得減税があったことを考慮すると、2018年8月が前年比成長率の当面のピークで、個人消費前年比成長率の回復は2019年の3月くらいまで待たないといけなくて、そこからしばらく個人消費の成長率が強含む可能性も示唆しています。減税や金利政策によっても影響を受けるので、あくまで参考程度ですが。。

所得減税(一人当たり1600ドル、平均賃金の4%くらい)による個人消費の伸びが2018年にはあったはずなので、2019年が前年の2018年比で、個人消費の成長率を超えるのは結構難しい部分もあるのかなとも思います。ただ、2018年1月の個人消費の成長率はそれほどでもないですね。減税による所得上昇による個人消費の増加も、もしかしたら、6-12ヵ月遅れてやってくるのかもしれないですね。ちゃんと調べてないですが。。

中間選挙前にはトランプさんが中間層への所得減税を言及していましたが、中間選挙に共和党が負けた後、その話は今のところ聞かないですね。

一方で、米国のCFOの80%が2020年末までのリセッション入りを予想しているみたいですね。

米国のエコノミストの2/3が2020年末までにリセッション入りするとみているみたいですね

で、市場もリセッション入りを意識しているようですね。


実際リセッション(2四半期連続のGDPの減少)になるかなんて、正直わかりません。もし、2019年の個人消費の伸びがかなり強ければ、また株価は堅調になるかもしれませんし、一方で、これ以上、個人消費の成長率が伸びるのもなかなか大変そうにも見えます。

個人消費の伸びが底打ちするくらいまで、あまり無理をしない方がいいかもしれませんが、市場が総悲観になっているようにも見えるので、何とも判断しがたいというか。正直どうなるかはわかりません。

2018年12月13日木曜日

EUのエリート主義とポピュリズム、マクロン政策の失敗

フランスが、デモというか燃料税反対の暴動で揉めていますね。結局マクロンは燃料税の課税を延期して、譲歩したみたいですね。

で、こういった動きを、大衆に迎合するポピュリズムと称するメディアが結構ありますね。ポピュリズムの反対はエリート主義でしょうか。

大衆が常に正しいということは、もちろんありませんが、今回の件では「ポピュリズム」の方が、正しいと思います。

EUでは、失業率が10%を超える国が、ギリシャ、スペインとありますし、フランス・イタリアも失業率が9%台、若者の失業率は、その2倍とちょっとでしょうか。とても、社会的に許容できる範囲を超えていると思います。

ドイツは余裕の低失業率、金融緩和・財政緩和気味のアメリカ・日本は完全雇用を伺うほどの状態です。

そんな状態でも、EUは赤字をGDPの2%以内に抑えるという意味不明な基準で、大量の失業者を放置しています。意味不明なエリート主義の結果が、大量失業の無策なのであれば、大衆が怒るのも無理はありません。

マクロンは失業者に対して、本人の努力や譲歩が足りないという態度を示していたようですが、もし、マクロンが一人の若者に職を紹介しても、マクロ環境が変わらなければ、別の一人が失業するだけです。

マクロンがやることは、椅子取りゲームに負けた人を叱咤激励することではなく、人数分の椅子を用意することです。そのためには、財政を緩和するか、金融を緩和するしか方法はないと思います。

やるべきことは、見えているのに、なぜかやらないEUの、緊縮財政主義は、正直意味不明です。

金融緩和も、財政緩和も、結局は需要の先食いだから、実質的には何も変わらないという古典経済学的エリート主義が、EUに蔓延しているのかもしれないですが、人間の行動は古典経済学のように合理的ではないから、ちゃんと現実見て政策しようぜと言っていたケインズを思い出してほしいです。

そもそも、古典経済学は非自発的失業自体を存在していないものとして扱っていました。でも、実際はそんなことはありません。実際の人間は、必要以上に消費や投資に臆病ですし、景気循環の波は、非常に大きいです。それらを緩和するマクロ政策が実際には必要になってくると思います。

さらにいえば、失業者を放置し続けることによって、本来なら伸びるはずの潜在的経済力を無駄にしてしまい、長期的にはより財政状況を悪化させてしまう可能性もあると思います。