2022年11月25日金曜日

個人投資家による情報提供と、情報受領者に対する利益相反

 近年、ますます有名個人投資家の相場に対する影響力は強まっている気はしますね。

機関投資家並みの資金力を持っていたり、証券会社のリサーチアナリスト顔負けのリサーチ力を見せる個人投資家の方もいらっしゃいます。中小型株の会社のIRの方も積極的にSNSやzoom等で個人投資家に対して情報開示や提供を行ったりしています。ニュース番組のコメンテーターになられる方もいらっしゃいます。

有名個人投資家の方が言及したセクターや個別銘柄が買われたり、大量保有報告や上位株主に有名個人投資家がいると値動きが動意づいたりもします。もちろん機関投資家でも名前がでると追随買いが出て来たりもします。

証券会社のリサーチアナリストであれば、自分が情報提供する銘柄に関して取引を行ったりポジションを持つことはできないと思います。なぜなら、顧客に対して利益相反になる可能性があるからです。そのような行為はコンプライアンスや法律で禁止されています。その分公正中立な情報提供ができるかもしれませんが、実際にリスクをとっている人と比べて相場に対するタイミングや情報の実践性が低いと感じることがあるかもしれません。

投資顧問業に関しても、自己のあらかじめ保有している銘柄を顧客に正当な根拠なく推奨するのは禁止されていると思います。

一方で個人投資家は、自己の保有している銘柄を広く人に紹介しても、特に罰則等はないと思います。(もちろん意図的に虚偽の情報を提供すれば法律で罰せられると思います)これは個人投資家が誰に対しても顧客関係をもたず、何らかの契約を行っていない存在であることが大きな理由であると思います。自由に情報発信できるし、褒められたことではないかもしれないですが、なんなら情報発信の前にフロントランニング的に仕手行為にならない程度のポジションをとれるのは有名個人投資家にとってはとても有利なことなのかもしれません。

個人的には、個人投資家には自由に情報を発信してほしいし、自分もそうありたいと思っていますが、一方で、顧客や契約対象のいない個人投資家であっても、自分の保有している銘柄、もしくは銘柄を保有していなくても、個別銘柄やセクターに関する情報提供を行う場合は何らかの利益相反が多かれ少なかれ存在し、法律上は規制されていなくても倫理的な面で気を付けなければいけないとは思います。自分が何らかの情報発信を行い、それを基に何らかの取引をした人が損をした場合、やはり倫理的には責任感を感じてはしまいますし、それで結果として自分が得したとなればなおさらです。

自分的には、個人投資家にも情報提供者に対する倫理的な利益相反が存在するが、情報提供による公益性も存在すると思います。そのバランスを取りながらどのように自分のポジションをどうとるか、情報を提供するかあるいは、情報を提供しないのかのバランスを取っていく必要があると思います。

個人的には、個人投資家においても

・虚偽や不当な情報提供をしてはいけない。(これは場合によっては法律で罰せられる)

・利益相反の起こりうる情報提供に関しては、公益性あるいは情報受領者に対する有益性が上回ると思われる場合に情報提供するのが大事だと思われます。(こちらは倫理的な面で、人それぞれ考え方や基準は違うと思います。)

基本的には、自由であることが大事だと思いますが、あまりに利益相反が大きな状態が続くと何らかの規制が必要になってしまう恐れがあるとは思います。